外科治療の向上と優秀な 外科医 を育成する
一般社団法人京都大学外科交流センター
11:00~18:00(月〜金)

日々の細かな疑問を調べ 根拠 を学ぶ~続けることで自分を成長させる~

  畑啓昭先生

略歴

  • 2000年 京都大学卒業
  • 国立がんセンター中央病院
  • 2005年 国立京都医療センター
  • 専門分野・担当疾患

  • 上部消化管(胃がん・食道がん)
  • 資格

  • 日本外科学会 外科専門医・指導医
  • 日本消化器外科学会 消化器外科専門医・指導医
  • 日本内視鏡外科学会 内視鏡外科技術認定医・評議員
  • ※資格・所属委員会は最下部に詳細を掲載

    お名前:畑 啓昭先生(2000年卒)

    所属施設: 京都医療センター

    市中病院でのキャリアについて

    私はこれまで、 市中病院 でキャリアを積んできました。

    現在勤務している 京都医療センター は、比較的大きな病院で、各診療科には有名な専門家がいて、すぐコンサルトを受ける事ができます。

    これは 京都医療センター の特徴になりますが「臨床研究センター」があるので、治験対象患者専用の診察券があったり、カルテにも臨床研究に関する必要な情報が記載されていたりします。

    さらに独自の研究費などで研究資金面でもサポートがあるので、病院全体で臨床研究に対する土壌を整えられているため、 外科医 の先生方も研究に対する意識が高いのは最大の特徴ですね。

    例えば、成田先生(H.11卒)は、肝胆膵の臨床だけでなく、ヘルニアについても国立病院機構のネットワークで全国規模の臨床研究を進めておられます。

    研究意識は高いのですが、強制的に研究をさせられるわけでは無く、それぞれが感じた疑問をその気になれば臨床研究の形にすることができるというような雰囲気ですかね.

    臨床面では「忙しすぎる!」ということはなく・・・
    例えば、緊急手術でも、レジデントだと週2~3件位で、こなすだけで精一杯とまではいかなくて、また全ての手術に上級医がペアで入るので、適度に勉強復習しながら対応する事ができ安全面でも教育面でも充実していると思います。

    市中病院で「研究」も「臨床」もキャリアアップしたいと考えている先生達には、京都医療センター はオススメの施設だと思います。

    「根拠」を学ぶ重要性

    根拠 畑啓昭先生

    京都大学 外科 関連施設は、どの施設も素晴らしい手術手技の下で実績が積まれているので、非常に刺激になっています。

    例えば、腹腔鏡下手術では金谷先生(現:大阪赤十字病院)のところに1カ月見学を受けて入れて頂いたり、手術支援ロボットなど最先端の設備を導入する時にも、メールで岡部先生(現:新東京病院)にお願いすると、すぐに来てサポートして頂けたりしました。

    京都大学 外科 関連施設は、施設間を超えて敷居が凄く低いのは「臨床面」で本当に助かっています。

    だから「正しい手術手技」というのは、京大関連 であれば正直どの施設でも学ぶことが出来ると思うんですよ。

    だからこそ当院の若い先生達には・・・
    「何故そのような手術手技になるのか?」さらには手術前後の「周術期管理」では「何故これが必要なのか?」ということを学んでもらいたいといつも思っています。

    そして単にできるようになるだけでは無くて「 根拠 」をもって人に説明出来るようになって欲しいと思っています。

    その理由は「どこにいっても通用する」ためです。

    「手術手技」も「周術期管理」も他の病院に異動すると、やり方が違う場合がありますよね?

    そんな時「 根拠 」も無く「前の病院ではこうしていました」では通用しません。

    また他の先生方と「治療方法」についてディスカッションすることがありますが「根拠」が無いと議論すら出来ません。

    だからこそ「手術」も「周術期管理」も「 根拠 」付きで学んでほしいのです。

    根拠 を学ぶ方法は「調べる」こと

    周術期管理において「根拠」を学ぶ基本は、少なくとも関係する領域の「ガイドライン」や「メジャーな論文」を最低限の知識として知っておくことだと思っています。

    もちろん「ガイドライン」や「メジャーな論文」をしっておくのはあくまでも出発点で、実際の臨床では、それ以上のことが求められます。

    そういう場合にも「調べる」ひと手間が重要だと思っています。

    私は、卒業して最初に国立京都病院の総合内科で研修を始めました。

    Dr.Gのテレビなどで有名な酒見英太先生(現:洛和会京都医学教育センター 所長)がアメリカから帰ってこられていて、当時EBMって何?という時代に、日々のこまごました疑問すべてにエビデンスを求められたことで、自然に「調べる」ことが自分の身についたのではと思っています。

    だから若い先生達にも「日々の細かい疑問はちゃんと調べるように」と伝えることで、少しでも苦労なく身につけばいいなと思っています。

    指導医としては、色々と教えたくなるのですが・・・

    なんでもかんでも教えるのではなく、私が答えを知っているなぁと思っている場合でも「これどうなんか調べといて」とお願いすることで、レジデントの先生達に「気になることは調べる」という意識をもってもらえたらよいなと思っています

    まぁ、知らないことを本当に調べといて!ということの方が多いですけどね。

    調べることが活躍する結果に繋がる

    根拠 畑啓昭先生

    「日々の細かい疑問をちゃんと調べる」ことで「根拠」を手にするだけでなくて「自分が興味のある分野」が判ってくるので、若い先生たちの活躍の場が広がるキッカケになると思いますよ。

    興味のある分野が判れば、関係する学会に参加したり、そこで日頃と違う人達から刺激を受けたり、発信したりしますよね。

    そういう事を続けることで、私自身色々な他分野の仕事に参加させて頂いて勉強することが出来ましたからね。

    医師にとって、自分が活躍出来る分野を見つけることは大切なことですが、京都大学外科関連病院には手術の上手な先生が沢山おられます。

    私には「手術」という土俵で、すでに活躍されている先生方と競い合うことは難しいので、外科のメインルートから少し外れた領域で自分の能力を伸ばそうとするのが、
    与えられた役割なのかなぁと思っています。

    多分、自分に合った分野で正しい努力をすることが、最終的には「臨床面」や「学術面」でも、必要とされる役割を果たすことに繋がるのだと思います。

    私自身のことで言えば「手術前後の感染」について興味があって、それらを「解り易く伝える」ことにも興味がありました。

    患者さんの予後というのは、手術手技で変わりますが、手術前後の管理でも大きく変ります。

    だから「手術前」であれば、外科治療以外で起こり得ることも「予想」して準備します。

    服用している薬剤からも「どういう影響・可能性があるのか」を考えて、後で「こうしていれば良かった」ということが無いように「予想」します。

    術後は、やはり異常をいかに早く見つけるかが重要になりますが・・・

    私の研修医時代の経験ですが、当時の指導医だった黒柳先生(現:虎ノ門病院)が、私より先に必ず異常を発見して、適切な検査オーダーをされているんですね。

    私自信では気付けないことに素早く気付かれて、その後のアセスメントまで終わっているので、自分で考える暇がなくて、当時は少しでも同じ思考過程を共有させてほしいなぁと思って、黒柳先生が何かに気がつかれても「僕が考える間ちょっと待ってください!」と言っていたこともありました(笑)

    その予想する力も、結局は「日々の細かな疑問を調べて」「根拠を学ぶ」こと、実際の臨床で多くのことを経験することで、力がついていくのだと思っています。

    臨床研究は時間がかかる

    総合内科でEBMを擦り込まれてから外科にくると、2001年当時はかなり根拠にとぼしい治療が多かったように記憶しています。

    そこで、外科のことを何もわかっていない研修医が、色々とガイドラインが「どーのこーの」エビデンスが「どーの」と言い出したわけですが・・・

    今から思えばうっとうしい研修医だったと思います。

    ですが当時の 小泉先生、大和先生、坂井先生、黒柳先生方が、そんな研修医の意見を聞いて、色々と新しいことを導入してくださいました。

    抗菌薬についていうと、この頃から「京都医療センター」では、術後の抗菌薬は使わないようになったと思います。

    このような背景で、SSI予防の抗菌薬について色々と試行錯誤させてもらうことができました。

    根拠 畑啓昭先生その後、2006年からRCTプロトコルを作成し、2007年に開始、研究が終了したのが2011年で、
    学会発表したのが2013年でした。

    「臨床しながら・・・」を言い訳にしていて、実はもっと早くできたかもしれませんが、医者になってすぐからの疑問についてひと段落するまでえらく長くかかりました。(笑)

    臨床をしながら一つの事を長期間追い続けるというのは、なかなか難しく感じる先生方もいると思います。

    特に外科医の場合「新しい手技」というのは、短期間で直ぐに結果に繋がることがありますからね。

    ただ、私は「結果が出ないから辛い」と感じたことは無いんですよね。

    多分、私の求めていた結果というのが「日頃の細かい疑問を解消することの延長線上」にあったからだと思います。

    それに「長く続けていること」って、いつか周りから助けてもらえるものです。

    私の場合は、坂井先生(現:京都大学医学部消化管外科教授)から声をかけてもらって、京都大学外科関連病院で大きなRCTとして解決するチャンスが頂けました。

    ですので、若い先生たちには「結果」を出すことも重要ですが、「長く焦らず続けていると良いこともある!」というのも知っておいて欲しいですね。

    続けることで必ず結果に繋がる

    京都大学外科関連施設で行ったRCTの「結果」は、役に立つと自負していますが・・・
    それ以外の色々な活動が、世の中に役立っているかは正直なところ私には解りません。

    でも発信し続けることで「研修医向けの講義」や「看護師向けの講義」学会の教育セミナーなどの教育活動や、色々な「委員会」活動に参加させてもらうことが出来て、やりがいと同時に勉強にもなっています。

    そういった点では、根拠を得るために調べ続けて、自分のできることを続けてきたことは「自分を成長させる結果」に繋がったと思いますね。

    後輩の先生が成長する喜び

    根拠 畑啓昭先生

    自分の経験を少しでも参考にしてもらって、レジデントの先生達も成長してもらえたらと思い、京都医療センターでは毎朝に回診をしているのですが、回診前にレジデントの先生達には

    「先に自分独りで回診して、自分の判断と指導医の判断が合っているか確認する」

    ようにお願いしています。

    また、他の先生の担当患者さんも一緒に回診することで、多くの医者で診るという患者さんのメリットは勿論ですが、数少ない合併症などをみんなで共有して少しでも経験を増やしてほしいと思っています。

    こういったことを繰り返すことで「結果」レジデントの先生の成長に繋がると思っています。

    そうやってるからかどうかはわかりませんが、若い先生達がどんどんと成長するのを見るのが最近は凄く嬉しくて・・・

    もともと私は、海外や無医村で「ダイナミックな手技」で治療が出来る外科医に魅力を感じていたのですが、今はそれと同じくらい「手術手技」を含めて「私の経験や考え」を伝えて、若い先生達がそこから少しでも学んでくれているのを見ると「本当に嬉しく」なるんですよね。

    自分のこれまでの経験や知識に基づいた「根拠」が生かされて、若い先生たちが成長して「おぉ!めちゃくちゃできるようになったなぁ!」と言えようなる時に、凄く外科医の魅力を感じるようになりました。

    これからも多くの先生たちに「日々の細かい疑問」を調べて「根拠」を身につけるという一つの方法を伝えながら、少しでも役に立つことができればと思っています。

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    • 日本感染症学会 評議員・臨床研究促進委員会委員
    • 日本化学療法学会 評議員・抗菌化学療法認定医制度審議委員会委員・国際渉外委員会委員
    • 日本化学療法学会・日本感染症学会 薬剤耐性菌感染症を対象とした抗菌薬ガイドライン作成に関する合同委員会委員・Journal of Infection and Chemotherapy, Senior Editor