外科治療の向上と優秀な 外科医 を育成する
一般社団法人京都大学外科交流センター
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外科交流センター理事長 挨拶

京都大学 外科交流センター理事長 森本泰介より、皆様へのご挨拶と外科交流センターの活動目的についてご紹介させていただきます。

外科交流センター理事長 の挨拶

外科交流センター理事長

京都大学外科交流センター理事長を拝命してから約2年が過ぎようとしております。
この2年間を振り返り、平成29年度機関誌の巻頭言とさせて頂きます。

私が理事長を拝命した平成27年12月から29年初めにかけて、外科交流センターをめぐる最大の話題は、当初平成29年4月に開始予定であった、新専門医制度による専門医(後期研修医)研修の開始が延期され、その後に組織された専門医制度新理事会による様々な検討によって制度が見直され、そして平成29年8月初旬に、「平成30年4月から正式開始」という方向性が示されたという一連の流れではないでしょうか。

その経緯は皆さんもご存知でしょうが、簡単に振り返るとともに、この間に行った外科交流センターの活動についてご報告いたします。

新専門医制度での後期研修制度が決まった当初は、平成29年4月開始を目指して、ある程度順調に準備が進んでいるようにも見えましたが、開始予定日が近づくにつれて、実際に地域医療を担っている各病院団体や日本医師会、病院事業を管轄している地方自治体などから、制度実施に伴う「医師の都市部への集中と偏在」、「地域医療の崩壊」などの危惧、「地域枠入学研修医や地方での義務年限のある医師研修体制への対応」、「給与制度や身分保障の具体的方法」、「女性医師の結婚・妊娠・出産・育児などによる研修の中断と、臨床現場復帰へのキャリアサポート体制」など、専門医制度自体が抱える課題や、制度の実施に向けて解決すべき課題などが一気に噴き出してきました。

そこで、「開始ありきではなく、一度立ち止まり、じっくりと新しい制度を考え直してはどうか」という反対論・慎重論・要望・声明などを、厚生労働省や専門医機構が総合的に勘案し、平成29年4月の制度開始を延期することが決定されました。

一方、京都大学外科交流センターでは、交流センター発足以来、専門医制度がどのようなものであれ、「絶滅危惧種」とも言われ、年々減少していく外科志望医師を一人でも増やし、外科後期研修を希望する若手医師の育成方法を考えながら、その教育プログラムを模索してきました。

開始が1年延期されることにより、とりあえず考える時間ができたことは総合的には少しプラスに働いたと思います。と同時に、1年間で解決しなければならない多くの課題も見えてきました。

都道府県単独のプログラムを構築している地方大学が多い中で、全国をカバーする京都大学外科教室の全ての関連施設において、外科診療・外科学の向上に努め、優秀な外科医を育成し、最終的には地域医療の振興に寄与するという交流センターの理念を達成するためにはどうすればよいかと、様々な議論や工夫を重ねてきました。

詳細な経緯は表にまとめましたが(下表参照)、60数施設あるすべての会員施設が、基幹病院あるいは連携病院としていくつかの病院群を形成し、その病院群が外科交流センターという大きな枠の中でまとまったことは、外科交流センター会員の結束の強さを示すものであり、京都大学外科教室の3教授をはじめとして、制度設計に当たられたすべての皆さんの努力の賜物であると感謝申し上げます。

新専門医制度に関する、交流センターの対応について
平成27年10月 各施設へ「京都大学外科専門医プログラム」への連携希望調査を実施
平成27年12月 各連携施設へ県警申請書の作成を依頼
平成28年01月 京都大学外科専門医プログラムを集計し日本外科学会に提出
平成28年06月 日本専門医機構が2017年4月からの新専門医制度開始を延期決定
平成28年06月 理事会にて「新たな専門医制度」に関する取り組みが説明される
平成28年12月 理事会にて10プログラムの作成依頼および各プログラム連携施設が決定
平成29年02月 10の基幹グループ代表者と会合を行い、情報を共有する
平成29年05月 京都大学外科専門医プログラムを集計し日本外科学会に提出
平成29年08月 センターホームページにて各プログラム内容を公開


外科交流センターの後期研修システムの大きな特徴は、全国各地に存在する地方中核病院を基幹施設として、その地域性を考慮して10個の基幹病院・連携病院群を形成し、それぞれがプログラムを作成したことにあります。前述したように、京都大学は広い範囲に位置する多くの病院をカバーしていますので、どうしても地域性を考えて、複数のプログラムを構築する必要があります。

このように地域性に鑑みて病院群を構成し、10個のプログラムにまとめられたことが大きなポイントだったと考えます。それぞれが特徴ある内容を組み込みながら、外科交流センター全体でみると、手術手技レベルや経験症例数が均霑化されるように企画されたプログラムに仕上がりました。

その基礎には、外科交流センター発足以来、学術教育委員会が目指してこられた、会員施設共通の後期研修プログラム構築への努力がありました。また、京都大学呼吸器外科教室や心臓血管外科教室のご協力を得て、しっかりとした連携を取り、一般外科医として必要ないわゆる一階部分が、すべての領域にわたり十分な指導体制のもとで十分な症例数が経験できる内容になっています。

平成29年5月に外科交流センターから提出したプログラムは、全て一次審査に合格しております。8月から9月にかけて、専門医機構(各学会)では二次審査と呼んでいますが、各都道府県の調整が入り、プログラム内容が地域医療に支障をきたさないかなどをチェックしています。

二次審査の結果はまだすべて把握できていませんが、一次審査に合格したプログラムの公開は既に8月中旬に許可されており、10月1日から各領域一斉に第一次登録(募集)が始まります。

登録システムは各領域全て統一形式で、11月15日で一応閉め切られますが、そこから1ヶ月間、二重登録のチェック、定員調整など都道府県との最終調整を経て、採用・不採用の決定、補欠登録などへと作業が進みます。その後、二次登録などを経て平成30年4月の研修開始を迎える訳です。

あらかじめ設定した各プログラムの定員に対してどれぐらい登録されるか、言葉を換えればどれぐらいの外科志望者がいるかは、ふたを開けてみなければわかりません。

それによって二次登録、個別交渉、さらには連携施設への人員配分、実際のローテーションの仕方、身分保障や給与負担に至るまで、ローテーション病院間での交渉や調整など、これから詳細を詰めていかねばならない課題が山積しております。

とりあえず平成30年4月には新しい制度による後期研修が始まることは決定しましたので、外科交流センターとしても、制度開始に向けての作業を進めていく所存です。

会員施設、特に基幹施設のプログラム責任者は事務方や他病院との交渉や調整で大変でしょうが、一人でも多くの後期研修医が京都大学外科交流センター内のプログラムに登録してくれるようご尽力をお願いいたします。

この制度がうまく機能し、外科医が「絶滅危惧種」の指定から解除されることを願いまして、巻頭言に代えさせて頂きます。

  • 平成29年10月
  • 京都大学外科交流センター理事長
  • 森本泰介