京都小児外科セミナー2018年春

 

開催日時

2018年4月29日(日)10:30-14:00

開催場所

京都大学医学部附属病院第2臨床研究棟8階セミナー室

参加人数

20名

幹事

京都大学大学肝胆膵・移植外科/小児外科 教授 上本伸二先生

講演①

肝外門脈閉塞症の診断、治療

京都大学小児外科 岡島英明先生

  • 内容
  • 肝外門脈閉塞症(EHPO)は門脈圧亢進症を主症状とする病態。
  • 門脈血流は肝門部の海綿状側副血行を伝って肝内へ流入している場合が多く、CT診断の上で有用な画像所見である。
  • 門亢症に伴うアミノ酸代謝異常のため、乳児期の高ガラクトース血症等で見つかるケースもあり、代謝性疾患のみならずEHPOを疑ってみる必要もある。
  • 治療については門亢症に伴う血小板低下、食道静脈瘤、脾腫等に対してEVL/PSE/摘脾等が挙げられるが、過去の症例からは、適切なシャント術が選択されれば長期予後も良好であり、過去には総腸骨静脈離断によるSMV-IVCシャントを行って成人後も長期に良好なコントロールが得られている症例もある。
  • シャント術式については、脾腎静脈シャント、Mesocaval shunt、Rex shunt等の術式があるが、手技的にはMesocaval shuntがアクセスし易く、静脈瘤消失率は100%に近い。
  • ただし門脈大循環シャントには肝性脳症の危険性があり、その点ではRex shuntは血行動態が生理的で理想的な術式である。
  • 逆行性門脈造影にて肝内門脈の開存が明確なケースには検討されるべき術式だが、術後シャント血管の狭窄、閉塞のリスクが17%程あり、静脈瘤の消失率という点で見ても60-90%程度の報告に留まる。
  • Rex shuntについてはある程度の門脈圧亢進があり、術後のfront flowがある程度見込める症例を選択する必要があると考えられる。

講演②

胆道閉鎖症のup-to-dateと肝移植児に対する感染症対策

京都大学小児外科 岡島英明先生

  • 内容
  • 胆道閉鎖症(BA)に関する診療ガイドラインの策定がほぼ終了しており、当該ガイドラインについての紹介を頂く。その上で、BAは本邦における小児肝移植適応疾患の最多であり、当科においては2012/1-2017/12間の106例のLTxのうち、80例がBAを原疾患とするものであった。
  • 106例の予後については、5年生存率95.9%と良好であり、入院中央値も49日と比較的早期に外来治療へ移行する傾向にある。術後感染症については、細菌感染、CMV/EBV感染はある一定の頻度では見られるが、治療に難渋するケースは多くはない。
  • 一方で遠隔期におけるEBV感染、PTLD等のケースが最近経験され、何等かの理由があるものか再検討を要する。真菌感染症については、高リスク症例に対してカスポファンギンが有用であったケースを1例経験しているが、以降はそのような重症例の発生はない。
     
  • 感染に関する前向き研究として、京都大学でも肝移植後の患児に対して、①術後2年以上経過し、②ステロイドの服用がなく、③1年以上拒絶反応の所見が見られていない症例に対して、生ワクチン接種を許可する研究を開始する。
  • ワクチンの優先順位としては、①麻疹、②風疹、③水痘、④おたふくの順番であり、混合接種は認めない。
  • また、移植後患児は抗体陽性率が低い事が知られているため、vaccine failureの場合は1回までの再接種を認める。今後2年間で前向き調査を行い、結果を検討の予定である。
     

 

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