第16回京都肝臓外科セミナー

 

開催日時

平成27年9月12日(土) 15:00~17:30

開催場所

メルパルク京都

参加人数

105名

テーマ

「肝門部脈管処理」

製品情報提供

 CSLベーリング株式会社 京都支店学術

CSLベーリングセッション

一般演題:司会;京都桂病院:西躰隆太、小倉記念病院:藤川貴久、京都大学肝胆膵・移植外科:安近健太郎
  1. 1.「当科における肝門部脈管処理の基本方針 ~後期研修終了後に行う安全確実な肝前区域切除~」
  2. 大津市民病院:井ノ口健太
  3. 2.「右側門脈臍部を有する肝門部胆管癌に対する左三区域切除術」
  4. 倉敷中央病院:大目祐介
  5. 3.「広範肝門部リンパ節転移を伴う胆嚢神経内分泌癌に対する外科切除例」
  6. 田附興風会医学研究所北野病院:内田洋一朗
  7. 4.「左側肝切除を伴う肝門部領域胆管癌手術における私の肝門部脈管処理法:標準症例から動門脈合併切除再建症例まで」
  8. 兵庫県立尼崎総合医療センター:吉川潤一
  9. 5.「肝門部領域癌に対する左3区域切除  ~肝臓を割ってからばらす後区域グリソンの処理~」
  10. 京都大学肝胆膵・移植外科:田浦康二朗

特別講演

  1. 「肝門部脈管処理」
  2. 防衛医科大学校外科学講座:教授  山本順司 先生

総括

京都大学肝胆膵移植外科 教授 上本 伸二 先生

報告

今回も近畿圏外の遠方から20名近い方々に、他大学からも数名の先生方に参加頂き、日本神経内分泌腫瘍研究会学術集会などとバッティングしてしまったにも関わらず105名が集まる盛況でした。特別講演をいただいた山本順司先生、ご発表下さった先生方、幹事の先生方を始め、関連施設の皆様に感謝申し上げます。

まずは嬉しいニュースを二つ。

この会が中心になって行われた胆汁漏についての前向き観察研究「肝中央切除術を施行した肝切除症例における術後胆汁漏予防策の検討」が、101例という沢山の症例を短期間に集めて無事完了しました。西神戸医療センターの石井先生の手により論文化され現在英文誌に投稿中です。

自由奔放がカラーの京大から「京大式肝臓外科のすべて」というまとまりの良い本が出版されました。作成委員会の皆様は大変なご苦労をなさったと思います。委員会の主要メンバーである寺嶋先生より本会の冒頭で紹介をいただきました。京都肝臓外科セミナーも「京大関係病院全体の肝切除の知識と技量の底上げを図る」という目的を果たすことで、京大としてのまとまりに一役買ったのではないでしょうか。

本会では肝門部脈管処理をテーマにして、基本手技でありながら難易度の高い脈管の個別処理について皆さんの知見を持ち寄って頂きました。何が正しくて何がcontroversialなのか、混沌としたまま会が進行してしまった点については、司会の実力不足を切にご容赦願う次第です。

大津市民病院からは、経験の少ない若手が安全に定型手術を完遂するための指導法という観点から発表いただきました。術式による肝門部処理の基本方針を統一し、術前画像では危険な脈管分岐のパターンを必ずチェックし、術中は必要に応じてICG蛍光も利用して葉間のプレーンを確認するよう努力し、原則全例に術中胆道造影まで行うという徹底ぶり。演者の井ノ口先生が提示された人生初と二度目の前区域切除のクオリティーには目を見張るものがあり、きっちりした指導の効能を雄弁に物語っていました。

倉敷中央病院からは、バイタリティーあふれる大目先生が、肝門部領域胆管癌の意欲的なビデオを提示されました。左三区域切除を行った右側肝円索を伴う興味深い症例を題材に、後区域グリソン鞘一括確保による間違いのないゴール設定の有用性を解説していただきました。バリエーションの多い肝門板内の動脈走行に対し、中枢側と末梢側を迷わず確保できて、多くの症例で有効とのことです。

北野病院の内田先生からは、高度の領域リンパ節転移を伴う胆嚢神経内分泌癌を例に、肝十二指腸間膜の郭清手技についてまとめて頂きました。動脈周囲神経叢の郭清を意識的に行うことの重要性を指摘されましたが、これに関連して、山本順司先生の特別講演で重要な補足がありました。

尼崎医療センターの吉川先生には、平成22年卒とはとても思えない肝門部領域胆管癌の豊富な症例経験を背景に、オリジナルの難易度分類、肝内外でのグリソン一括確保による手術の組み立て、積極的な血管合併切除再建の技術などをアピールして頂きました。内容が多くやや消化不良で終わってしまいましたが、引き続き洗練された安全な手技を追求していただきたいと思います。

京都大学の田浦先生からは、後区域胆管入口部まで伸展した肝門部領域胆管癌で、北回りの後区域動脈を持つ難易度の高い症例に対する、妥協のないビデオを提示頂きました。術前の準備から術中の手順まで、ステップバイステップに何を考え実行したか、分かり易い解説つきで大変好評でした。

今回は防衛医科大学の山本順司先生から「肝門部脈管処理」のタイトルで特別講演をいただきました。ご本人は「特別講演などという偉そうなものではなくて、あくまで自分の流儀を参考にしてもらう、という趣旨の発表です」と謙遜されていましたが、癌センター、癌研、大学で20年以上妥協無く歩んでこられた経験をもとに、基本手技における細やかな留意点から、限界への挑戦まで、ご自身の編集になるビデオの数々を見せて頂きました。S7グリソン鞘を完全離断してしまってから門脈、動脈をグリソン鞘より剥離し再建された症例には、皆さん度肝を抜かれたのではないでしょうか。動脈周囲神経叢郭清に関連して、組織学的には神経叢と外膜の境界は無く、神経叢を完全に切除しようとすると外膜もほとんど失われる、ということも教えて頂きました。自衛隊医務官、看護官である同僚の方々が、イラクで大変な苦労をされた貴重なお話も伺うことが出来て、一同大いに楽しみました。ありがとうございました。

次回からは本セミナーのテーマに膵臓外科も含むことになり、名称も「京都肝胆膵外科セミナー」と変更になります。セミナーで取り上げるテーマや企画についてのご意見、ご提案はいつでも募集しておりますので、事務局の4名までお気軽にお願いします。

 

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