京都大学小児外科セミナー 2015年 夏

開催日時

平成27年8月2日(日) 10:30~14:00

開催場所

京都大学医学部附属病院第2臨床研究棟8階セミナー室

参加人数

23名

幹事

上本伸二

参加者所属施設

大阪赤十字病院、日赤和歌山医療センター、兵庫県立尼崎総合医療センター、 北野病院、兵庫県立こども病院、倉敷中央病院、大津赤十字病院、金沢医科大学、 滋賀県立小児保健センター、京都大学病院

報告

(1)症例報告

兵庫県立尼崎総合医療センターより
・卵巣捻転を伴う鼠径ヘルニア
2例あり。いずれも初発。1例はLPEC、もう1例は鼠径部アプローチ+腹腔鏡で治療。いずれも術後経過は良好。乳児の卵巣嵌入鼠径ヘルニアは捻転リスクを考慮して早期手術がよいか。卵巣摘出/温存の基準は?

北野病院より
・骨盤原発神経芽腫
6ヵ月男児。下痢・尿閉にて発症。骨盤内に石灰化を伴う腫瘤指摘。ダンベル型骨盤内神経芽腫と診断。腫瘍生検にてFavorable type,Nmyc増幅無し、リンパ節転移あり、Stage3。化学療法開始。出血性膀胱炎でCPA減量。腫瘍の縮小はあまり得られず。尿閉は改善。腫瘍による圧迫であったか、神経因性膀胱であったか。
・副腎原発神経芽腫
3歳女児。発熱、腹痛、背部痛で発症。右副腎に7cm大の腫瘤あり。腹腔鏡下リンパ節生検施行。骨転移あり、Nmyc増幅無し、INSS stage4、unfavorable type、ハイリスク群。リンパ節生検でよかったのか。
・右横隔膜弛緩症
日齢26女児、多発奇形、Dandy Walker Syn.呼吸障害あり、透視にて奇異呼吸あり。胸腔鏡下横隔膜縫縮術施行。
・精巣腫瘍2例
2歳男児。左陰嚢腫大。10ヵ月時に陰嚢水腫指摘。未熟奇形腫の疑いにて左高位精巣摘出術施行。1歳5ヵ月男児。右陰嚢腫大。AFP高値、yolk sac tumor疑い。右高位精巣摘出術施行。右大腿リンパ節生検施行。術後AFP低下。

兵庫県立こども病院より
・胆道拡張症
1歳女児。VSD、PDA開存、MRあり。肺炎時の精査にて胆道拡張を指摘。総胆管のみの拡張で、総肝管は径1mm程度であった。胆管空腸吻合施行し、経過は良好。術中ステント留置せず。極端に細い総肝管と空腸の吻合時の工夫は?
・空腸閉鎖症
Apple peel型。Apple peel部は40cm、他の小腸は70cm。一旦温存し、吻合したが、trans anastomotic tubeが抜けてから状態が悪化。茶褐色の嘔吐あり。再開腹術施行し、Apple peel部40cmの色調不良を認め、すべて切除した。血流不良の原因は?辺縁動脈が1本のみなので、しっかり温存を。腸間膜は縫い合わせないように。

倉敷中央病院より
・胎児卵巣腫瘍疑い
出生後1ヵ月で手術施行。卵巣捻転であった。卵巣摘出術施行。胎児卵巣嚢腫の治療は?現時点では明確な治療方針なし。穿刺のみではなく開窓必要。

日赤和歌山医療センターより
・便秘
12歳男児。腹部膨満あり。胎便排泄は3日目であった。直腸肛門内圧反射は陰性。吸引粘膜生検では、肛門歯状線直上で神経節なし、3cm口側でHypo?確定診断得られず。まずは内圧検査の再検を。冷水で刺激がよいか。

(2)ミニレクチャー

「先天性気道狭窄症の診断と治療」
兵庫県立こども病院 小児外科部長 横井暁子先生

診断には、挿管されていない状態の3DCTが有用。気管支鏡も有用。通常、気管膜様部を認めず、complete ringの状態。生直後に呼吸困難や喘鳴を認める。また、上気道炎にて窒息することもある。

挿管する場合には必ず鎮静、筋弛緩が必要。気管支鏡でチューブ先端を確認しながら固定する。呼吸器設定は、呼気時間を十分とることが大切。PIPをあげる。

喀痰吸引、胸部スクイージングはしっかりと。どうしても呼吸できないときは、バルーン拡張後、狭窄部を超えて経鼻的にチューブ留置。

気管形成術の適応は生命をおびやかす窒息、抜管困難など。軽症例は悩ましい。Complete ringも成長するが、体格の成長には追いつかない。

術式はスレイド気管形成術が主流。血流がよく、狭窄部が長い症例にも対応できる。バルーン拡張はその後の気管軟化を発症しやすいので気管形成の方がよい。ただし、転院の場合には一旦出張でバルーン拡張を行い、挿管の上、転院。

10%が術後早期に死亡。50%強は比較的早期に回復。他、長期気切など。縫合不全は10%程度に認め、うち2%が死亡。抜管困難理由としては、狭窄残存(先天性狭窄部の残存、吻合部狭窄、肉芽)、気管軟化、他の喉頭病変、低酸素脳症など。肉芽にはパルミコート吸入が有用。気管軟化に対しては、大動脈釣り上げを同時に施行。気管カニューレの選択も大切。

なにより、チーム体制が重要。

 

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