京都大学大学院医学研究科消化管外科学 肥田侯矢先生(H9卒)

外科医として成長する~皆で楽しく~ 2018年10月18日掲載

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  • 1997年 京都大学医学部卒業
  •      沖縄中部徳洲会病院
  • 2000年 京都大学第二外科
  •      大阪府済生会泉尾病院外科
  • 2005年 京都大学外科大学院
  • 2009年 京都大学消化管外科
  • 2011年 西神戸医療センター外科医長
  • 2013年 京都大学消化管外科助教
  • 2016年 京都大学医学部附属病院
  •      総合臨床教育・研修センター院内講師

京都大学初期プログラムの魅力

一つには、京大初期プログラムは自由度が高いというところですね。
いろいろなものを選択することが可能です。
例えば、内科であれば一年目から3つぐらいの中から選択できます。
また外科は、希望を聞いて消化管・肝胆膵・心臓血管外科・呼吸器外科の中から選んでもらっています。
その中でも消化管の人気が高いので、あふれる子が多いのですが、その場合は二年目に来てもらっています。
 
二つ目は、全ての科にスペシャリストがいるということです。
外科でも、診療ベースのスペシャリスト・手術のスペシャリスト・研究のスペシャリスト、がいます。
残念ながら、教育のスペシャリストが、あまりいないのですが・・・(笑)
 
そういう「スペシャリストの先生方の中で日々の研修ができる」それは、市中病院と比べると大きなメリットと思います。
 
もちろん市中病院でも、数多くの症例を経験できますし、スペシャリストの先生方もおられます。
ただ全科に、日本をリードするようなスペシャリストの先生方が居るとなると、なかなか難しいと思います。
その点で、京都大学での研修は大きなメリットになると思います。
 

高いレベルを目指すなら高い要求は当然

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全科にスペシャリストの先生が居るため、京都大学では高いレベルが要求はされています。
 
例えば大腸の手術があると、学会でレクチャー出来るほどのビデオを作らなければなりません。
 
そうなると一定の高いクオリティーを保つ必要があるため、初期研修医ができる範囲が、一般病院に比べると少なくなる事がありますね。
 
だからといって、研修医が手術に参加できないという訳ではありません。
 
手術に参加したい研修医は、積極的に参加していますし、内科志望でも「外科も見てみたい」という研修医が手術には参加せずとも見学に入っている場合があります。
 
高いレベルの医師を目指すのであれば、クオリティーの高さが要求されるのは当然だと思います。
 

京都大学以外での研修時代に得られたもの

ただ私の場合は、初期研修医時代に様々な科をスーパーローテーションした後に、外科に入って京都大学に来ました。
研修医時代に全科にスペシャリストの先生方が居たという経験はしていません。
その点では残念でしたが、市中病院での初期研修医経験は大きな糧になったと思います。
 
私は、沖縄で研修を積んだのですが、その施設で初診の患者さんを年間で2500人位診ました。三年間で7500人診ているわけです。
それが京大病院だと二桁以上少ない、多分100もいかないと思います。
 
市中病院で研修することで、あらゆる経験をすることができたので症例や患者さんに対する対応力がつきましたね。
 
そう言う点で、どこかの段階で沢山の経験を積む必要があると思うので、研修修了後でもいいので、是非一度は症例の多い施設で勤務を経験してほしいと思います。
 

知識や技能だけでなく「態度」を学んで欲しい

沢山の経験を積むことに加えて、3つのものを学んで欲しいと思います。
 
一つは「知識」で、これは解剖の知識とか手術の方法とかになります。
次に「技能」です。これは縫い方とか糸の結び方とかについてです。
 
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そして「態度」を学んでほしいと思います。
例えば、少し注文の多い患者さんへの対応や、看護師さんが間違った場合にどのように接して対応するかなどです。
 
実は、看護師さんからは時々「ご意見」をいただくことがあります。
「この先生は〇〇で困ります」みたいな(笑)
 
私は、研修医とは二週間に一回くらい15~20分の時間をとって、一人一人面談をするようにしているのですが、その際に研修医の状況や考えを聞くようにしています。
その上で、本人が気付いていないことがあれば、相手の性格を考えた上で、具体的な改善点を教えてあげるようにしています。
「電話を切るのが少し早いかもね」みたいに(笑)
 
当然ですが個々の研修医で性格が違うので簡単ではないのですが・・・
少し強く言うと「シュン」となってしまう人もいれば、全く動じない人もいます。
どちらの性格が良いというわけではありませんが、医師として成長するためにも、「態度」は重要だと思います。
 
研修医の中には、手先が器用で「出来る」人もいますが、「自分は出来る」とういう「態度」だと、なかなか教えを請いに来たりすることはありません。
そうなると結局、外科医として成長が止まってしまいます。
 
でも「自分は出来ていない」という「態度」の人は、積極的に尋ねてくれますしトレーニングを積み重ねるので成長します。
個人的には「どんくさい」人のほうが、外科医として成長すると思っていますね。(笑)
 

外科医として皆で楽しく成長したい

成長するためには、コツコツ独りで勉強することも出来ますが、周りとコミュニケーションを取りながら学ぶことも大切だと思います。
 
その助けになればと思い、大腸コアミーティングやクリニカルリサーチ会議を企画しています。
これは「皆の考えを一致させたい」という面もありますが、「皆でするなら楽しく取り組みたい」ということを目的に企画しています。
 
特に今は、大学院や留学などで臨床から少し離れると、すぐに浦島太郎状態になってしまいます。
 
私は、20年前に医者になりましたが、当時は開腹から始まってラパ胆だけが腹腔鏡でした。それが今の研修医は、腹腔鏡から始まりますので、大腸癌の手術は腹腔鏡が当たり前だと思っていますよね。(笑)
ロボット手術が始まって、更に20年位経つと、ロボットで大腸癌、胆摘、虫垂炎の手術をするのが当たり前になると思います。
 
もちろん時代の流れとともに、色々なことを学んで欲しいと思いますが、あまり真面目に取り組みすぎると辛くなりますよね。
外科医を長く続けるためにも「皆で楽しく出来るのが一番」と思っています。
 

京大外科専門研修プログラムに参加している専攻医の先生方へ

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外科医として、ある時期には沢山の症例を診ることが必要だと思います。

しかし、京大含め一人で症例を沢山診ることが出来ない環境の施設もあります。

だからこそ、経験する一例一例の症例を大事にしてほしいと思います。

症例を「こなす」のではなく、「学んで欲しい」と思います。
 
一つの症例を診たら、手術がどうだったかビデオで振り返る。
自分で編集して、「ここが悪かった」とか「ここは良かった」という、サイクルを作って次に生かせるようにすることが大事だと思っています。
 
日々の診療に追われて、それができなくなってしまう時期があるかもしれませんが、その他の時期は、しっかりと症例を診るように努力してほしいと思っています。
 
 

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