医学研究所北野病院:山本 健人(H22卒)

論文執筆のモチベーションは、『執筆活動好き』になること 2016年12月13日掲載

 この度は京都大学外科交流センター冬季研究会において、英文論文発表数第1位、Highest Impact Factor賞、及び戸部隆吉賞をいただき、心より御礼申し上げます。これもひとえに、神戸中央市民病院および北野病院でご指導下さった先生方のおかげと、大変感謝申し上げます。

 この度、学術活動の取り組みにおいて「努力している点」をお伝えするよう御拝命をいただき、筆をとる次第であります。「努力」などという大それた表現で自らの取り組みを語るのは恐縮ですが、私が論文執筆に関して考えること、そしてそのモチベーションを維持できている理由を述べたいと思います。

症例をまとめることは外科医の務め

 前職地の神戸中央市民病院、現職地の北野病院はともに手術症例数が多く、若手外科医として大変恵まれた環境にありました。しかし私は、多くの症例経験を、自分の技量や臨床能力の向上に生かすだけでは勿体ないと考えています。

多くの症例を経験できるのであれば、それらから得られる情報を世に発信することもまた一つの医師の職務であると考えます。原著でも症例報告でも、論文として世に出すことは、おそらくただ一人の外科医の技術が向上することよりも多くの患者さんを救う一助になるはずです。

データベースの大切さ

 論文執筆をしていると、質の高いデータベースがいかに大切か、ということに気づきます。データベースを更新していくことは、忙しい日常診療の中でときに煩わしく思われ、その作業が滞ることが多くあると思います。

しかし、日常診療の中でクリニカルクエスチョンが生まれたとき、完成されたデータベースに常にアクセスできる環境にあれば、容易にそのクエスチョンの答えは得られ、それはすぐに学会発表や論文のテーマになります

そしてその経験が、次に質の高いデータベースを作ることのモチベーションになると思います。学会前に締め切りに追われて発表テーマを探すより遥かに効率は良く、学会発表の質の向上にもつながります。

組織としてその構成員たちが各データベースを最新の状態に常に更新できている状態が、日常の業務をかえって楽にする理想的な状態ではないかと思います。

論文という業績

 論文が出版されれば、世界中のどこからでも自分が書いた論文にアクセスすることができます。

誰が何件診療したかを外部の人間は容易に知ることはできませんが、誰が何本論文を書いているかはPubMedを使って世界中の人間がすぐに調べることができます。

大袈裟な言い方かもしれませんが、医師として世に貢献したその足跡を永久に残すことができる、と思えることは一つの大きなモチベーションになります。

執筆活動が好き

 このように大それたことを書いてきましたが、結局一番のモチベーションは「執筆活動が好きだ」ということにあると思います。

私は新聞投稿も好んで行っており、全国紙に自分の文章を数多く掲載してきました。論文執筆も、その言語を問わず、形にしていく作業が非常に楽しく思えます。

それが日記のように自分しか読まないものであれば楽しみもありませんが、完成すれば多くの人に読んでもらえるかもしれない、反響があるかもしれない、という気持ちが、最も大きなモチベーションになっていると思います

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